映画「カラーパープル」
黒人姉妹の深い絆の物語
こんにちは☺︎maaaachanです!blogを訪問してくださり、ありがとうございます。今回は映画「カラーパープル」を観た感想をお伝えします。
カラーパープル
監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演 ・ウーピー・ゴールドバーグ
・ダニー・グローヴァー
・マーガレット・エイヴリー
・オプラ・ウィンフリー
1985年制作のアメリカ映画で、アリス・ウォーカー原作小説の映画化です。
第58回アカデミー賞で、作品賞を含む10部門で候補にあがりましたが、無冠となっております。
ウーピー・ゴールドバーグとオプラ・ウィンフリーはこの作品で映画デビューしました。

愛する妹との別れ
カラーパープルは黒人姉妹が過酷な困難を乗り越えていく人生の物語です。
過酷な人種差別が色濃く残る時代に、ウーピー演じるセリーは幼い頃から父親による性的虐待を受けており、出産も二度経験していました。セリーの元に産まれた子供は出産後すぐに父親がどこかへ連れて行ってしまい、セリーは悲しみに溢れていました。
そんなセリーの心の支えは、美人で優秀な妹のネティです。二人の絆は深く手を取り合い歌をうたい愛に溢れていました。
お花畑でセリーとネティが手でリズムを取りながら歌うシーンがあります、そのシーンは数分間続きますが飽きる事なく見入ってしまう程、素敵なシーンです。
まだ10代のセリーはミスターという男性に嫁ぐ事になります。ミスターには子供がおり、セリーは子供の世話をしながら奴隷同然の扱いを受け生活を共にします。元々ミスターは美人で頭のいいネティを欲しがっていましたが、父親はネティの代わりにセリーを嫁がせたのです。
ある日、セリーの元にネティが訪ねてきました。ネティは父親に襲われそうになりセリーの元へ逃げてきたのです。それから姉妹はまた一緒に生活を共にしますが、元々ミスターはネティを狙っていたのでセリーは心配でした。その予感は的中し、ミスターがネティに襲い掛かります。ネティは抵抗しましたが、それに怒りミスターはネティを家から追い出してしまうのです。
本当の別れ
どうしても離れたくない姉妹でしたが、ミスターは力尽くでネティを追い出します。ネティは生きている限りずっと必ず手紙を書き続けると言い、泣きながら出て行きます。
そのしーんは「ここまでするか」と言うほど見ていて辛くなる場面でもありますが、家族が生き伸びるために離れて暮らす人はこの世界に大勢いることでしょう。
家族からの虐待や、愛する家族との強制的な別れ、男女差別による格差、様々な問題が描かれています。
今となっては手紙を書く事も少なくなりました、誰もが子供でも電話を持ち歩き、すぐに連絡を取って意思疎通ができる時代です。
それを当たり前だと考えると、強制的に離れ離れになった姉妹の連絡手段が手紙しか無いということは、現代がいかに恵まれているのかがわかります。
文字が読めないセリーにネティは文字を教えていました。セリーはネティから手紙が届く事を楽しみに、そして生き甲斐にしていましたが、手紙はいつまで待っても届くことはありませんでした。
ミスターが先にポストから手紙を奪い隠している可能性もありますが、確認する術もありませんでした。
セリーにも出会いが
そんな暮らしの中、セリーにも出会いがありました。ミスターの元恋人でR&Bシンガーのシャグが家に転がり込んできたのです。
ミスターは元恋人のシャグに今でも惚れ込んでおり、シャグはしばらくミスター家に居候することになりました。セリーとシャグは徐々に打ち解けていき、心を通わせます。
シャグはセリーに対して初めは醜い女と言い放ちましたが、一緒に生活をしているうちに、笑顔を忘れていたセリーから笑みが浮かぶようになっていました。
そうして月日が流れ、ある日シャグが郵便物を受け取り、それがセリー宛の手紙でネティから届いたものだと知りました。ミスターが留守の間に今までネティから届いていた手紙を探し出し、セリーはネティが生きていた事、手紙を書き続けていてくれた事を知り喜びます。
ミスターは何通もの手紙をセリーに黙って隠していたのです。それは両手では抱えきれないほどの手紙の量でした。そして手紙には、セリーの子供達と一緒にアフリカで暮らしていると手紙に書かれていたのです。
どんな相手との子供でも自分が産んだ子は大切です。産まれた瞬間に父親によって離れ離れになった我が子が、愛する妹と遠いアフリカで生活をしていたなんて…セリーは喜び、ミスターの目を盗んでは何通もの手紙に目を通しました。
転機が訪れる
ネティからの手紙を一通残らず隠していたミスターをセリーは恨みました。ある日、いつもの様にミスターの髭剃りを行っていたセリーは、剃刀でミスターの喉を掻っ切ろうとしていました。そこに何かを察したシャグが訪れて、セリーを止めます。
シャグはセリーを都会へ連れて出て行こうとしました。もちろんミスターは大反対です。ですが、セリーは初めてミスターに怒りをぶつけ出ていく決心をします。ミスターは「自分の元へ必ず戻ってくる」と言い放ちましたが、セリーの気持ちは揺るぎませんでした。
奴隷の様な生活は想像を絶するものだったでしょう。逃げたくても逃げれない状態や、その後の生活も考えなければいけません。セリーの背中を押したのは、シャグの行動や、妹ネティと子供達が遠くで暮らしていて生存が確認できた事、そしてなりよりミスターの抑圧から逃れたい思いからなのではないかと思いました。
父の死
セリーの父親が亡くなり、セリーは葬儀に出席します。セリーには以前の面影はなくキレイな服を着て、上品で華麗な女性になっていました。
そこで新たな事実を知ります、セリーの父親は実の親ではなく義父だったのです。亡母は遺言を残しており、実家はセリーの権利となります。セリーは飛び上がり声を上げて喜びをあらわにしました。
セリーは自分のお店を持ち、仕事をしながら生活をしていました。今までの苦労や悲しみから解放されて、生き生きと暮らしている様子が映像からも伺えます。
それを店の外で隠れる様に見ているミスターも描かれております、ミスターはセリーが出て行ってからは酒に溺れ、家は散らかり、悲壮感が漂う男になっていました。
セリーの存在はミスターにとって大切な物だったと失って気づいたのでしょうか。女性は召使い程度だと思い、性の捌け口として扱い大切にしてこなかったミスター。セリーを失った今、普通の生活もままならない状況で何を思ったのでしょうか。
妹との再会
ある日、セリーの自宅に来客が訪れます。それは妹ネティでした。玄関からゆっくり降りて行きネティを確認したセリーは大きな声でネティの名を叫び駆け寄ります。姉妹の再会にはミスターが陰ながら関わっておりました。
大きくなったセリーの子供達にも会うことができ、セリーは涙ながらに喜び親子は抱き合います。実の子供と産まれた瞬間から離れて暮らすことは、想像も出来ないほど辛い現実です。どのような思いで今まで生きてきたのかと思うと胸が苦しくなります。
そして、なりより深い絆で結ばれている姉妹が、20年の時を得て再会するシーンは感動的です。強制的に離れ離れになり、連絡手段も手紙しかなく、その手紙すらも本人の手元に届かない状況で、お互いの安全も確認できず暮らしていくのは、生きた心地がしない20年だったことでしょう。
2人は、いつかのように手遊びをしながら歌を歌い映画は終わります。
その後、セリーの生活はどうなったのか?きっとネティや子供達と一緒に穏やかに暮らしたのではないかと思います。長い間、笑う事を置いて行き、ただひたすらに従う事で生きてきたセリー。この先の未来が明るいものだと願いたいです。

